Cinema / beginner's guide

銀幕の夜

映画は、縄や道具だけでなく、見る/見られる、命じる/従うという力の流れを映します。ヒューマンドラマから、強い古典とバイオレンスまで。

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最初の一本なら

関係性と自己受容を見たいなら『セクレタリー』、軽やかな会話なら『ナナとカオル』、大衆映画として触れたいなら『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』。後半4作は強い表現を含みます。

01最初に

2002 / 米国 / ヒューマン・ラブストーリー

セクレタリー

生きづらさを抱える女性リーと、厳格で不器用な弁護士グレイの関係を描く作品。SM的なやり取りを、奇抜さだけでなく、自己受容と二人のコミュニケーションの物語へ変えています。

見るポイント
二人が自分の欲望を認めるまでの戸惑いと、関係を選び直す過程。
注意
職場の権力差や自傷の描写があります。ロマンチックな演出と現実の倫理は分けて見ます。
作品情報(Apple TV)↗
02入口

2011 / 日本 / 青春ラブコメ

ナナとカオル

幼なじみの二人が、秘密の「息抜き」を通して距離を変えていく物語。SMを恐ろしい異世界としてではなく、不器用な会話と信頼の手段として見せる点が入口向きです。

見るポイント
相手を観察すること、言えない気持ちを行為の前後でどう伝えるか。
注意
高校生を描くフィクションです。現実の実践教材としてではなく、青春物語として鑑賞します。
作品情報(FOD)↗
03入口〜中級

2015 / 米国 / ロマンス

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

若い女性と富豪の男性の関係を軸に、契約、秘密、支配欲を華やかな映像で描いた世界的ヒット作。BDSMを主流の恋愛映画へ持ち込んだ影響の大きさも鑑賞点です。

見るポイント
契約書があっても、感情・経験・経済力の差は埋まるのか。
注意
作中の交渉や行動を、そのまま安全なBDSMの標準と受け取らないこと。
シリーズ公式情報(NBCユニバーサル)↗
04中級

2012 / 日本 / 心理ドラマ

私の奴隷になりなさい

出版社で働く男性が、清楚に見える先輩女性の秘密と、さらに背後にある支配関係へ近づいていく作品。欲望の主体が誰なのかが何度も揺らぎます。

見るポイント
「支配する人/される人」という単純な二分法が崩れていく構造。
注意
職場、婚姻、秘密、第三者の影響が重なります。健全な関係の手本ではなく心理劇として。
作品情報(Apple TV)↗
05強い表現

2004 / 日本 / 官能ドラマ

花と蛇

団鬼六の小説を石井隆監督、杉本彩主演で映画化。緊縛を強烈な身体表現と画面構成の中心に置き、日本のSM映画を語る際に避けて通れない一作です。

見るポイント
縄の線、照明、観客の視線が、静子という人物をどう「見世物」に変えるか。
注意
拉致、監禁、性的暴力など、合意のない強い描写を含みます。
作品情報(東映ビデオ)↗
06極めて強い表現

2001 / 日本 / バイオレンス

殺し屋1

山本英夫の漫画を三池崇史監督が映画化。痛みを求める極道・垣原と、暴力へ追い込まれるイチを通じ、サドマゾヒズムを欲望、トラウマ、暴力の連鎖として描きます。

見るポイント
「痛みを望む」という言葉が、他者への暴力を正当化できないこと。
注意
残酷な暴力、拷問、性的暴力を含みます。BDSMの紹介ではなく、過激な犯罪映画です。
作品公式サイト ↗
07隣接領域

1999– / 日本 / 監禁ドラマ

完全なる飼育

誘拐・監禁という犯罪的状況を扱う映画シリーズ。「飼育」や閉ざされた二人というモチーフはSM作品と重なりますが、合意あるBDSMとは明確に分けて見る必要があります。

見るポイント
監禁する側の幻想と、拘束された側の現実が映画の語りでどう処理されるか。
注意
同意のない監禁を恋愛やSMの一形態として美化しないこと。本欄は比較のための掲載です。
シリーズ作品情報(映画.com)↗
08大人のサスペンス

2010 / 日本 / サスペンス

SとM 劇場版

村生ミオの漫画『SとM』を、仰木豊監督が映画化。平穏な家庭を築いていた会社員・戸田誠が、職場に現れた女性・沙耶との関係をきっかけに、日常を揺さぶられていく物語です。

見るポイント
秘密を抱えた人物の言葉や表情から、家庭と職場の信頼が揺らぐ過程を追う。
注意
性的表現や心理的な追い詰めを含む成人向けサスペンスです。合意あるBDSM関係の手本としてではなく、フィクションとして鑑賞します。
映画公式情報(配給会社)↗